避難所HUGとは

   避難者の年齢、性別、国籍やそれぞれが抱える事情が書かれたカードを、避難所に見立てた平面図にどれだけ適切に配置できるか、また避難所で起こる様々な出来事にどう対応していくかを模擬体験するゲームです。

   避難所のH、運営のU、ゲームのGの頭文字をとってHUG(ハグ)と読みます。英語で抱きしめるという意味です。

    :hinanzyo 避難所

                           U:unei         運営

                   :game    ゲーム

○HUGの効果とは

プレイヤーは、このゲームを通して災害時要援護者への配慮をしながら部屋割りを考え、また炊き出し場や仮設トイレの配置などの生活空間の確保、視察や取材対応といった出来事に対して、思いのままに意見を出しあったり、話し合ったりしながらゲーム感覚で避難所の運営を学ぶことができます。

 HUGを行うためには、HUGのカードや図面などの準備が必要なります。カードは市販されていますが、静岡県では「避難所HUG」の著作権・商標権を県の財産として登録しています。「避難所HUG」に関する著作権の利用及び商標権の使用取り扱いについては、静岡県の定めた【「避難所HUG」使用取り扱い規定】によらなければならず、内容の改変など二次的著作物を使用する際には、あらかじめ許諾を受ける必要があります。詳しくは、静岡県地震防災センターのホームページをご確認ください。


HUGの構成

HUGは、7~10人で一つのグループを作り、これを避難所運営の係員と仮定し、被災者に見立てたカードを避難所に適切に収容するとともに、与えられた情報をもとに避難所の運営をしていく、グループワークです。

○ HUGのスケジュール(例)

 

 10分  ゲームの紹介

 

  5分  参加者の自己紹介

 

 15分  ゲームの進めかたの説明

 

 60分~ ゲームの実践

 

 30分~ 振り返り・まとめ


HUGの流れ

これが被災者に見立てた、避難者カードです。

居住地域や苗字、性別や年齢、世帯の構成に加え、罹災程度などが記載されています。

 カードの大きさは縦8.7Cm×横4.5Cmですが、ゲームの上では縦2m、横1.5mの大きさがあると想定しています。これは、避難所において大人一人が横になり、手荷物等を置く場所などを確保した、一人当たりに必要なスペースと考えられています。

避難者カードは全部で204枚。

最高齢は102歳、最年少は生後10日という幅広い年代と、外国人や旅行者など地域に居住する以外の方や、住宅が全壊したり、家族の安否がわからない方、持病のある方、救援物資がほしい方など、さまざまな事情を抱えた被災者から構成されています。

 



避難者カードと似ていますが、これはイベントカードと呼ばれるもので、避難者カードの間に所々で出てきます。

 カードには行政機関等からの救援情報や避難者からの苦情、要望等が書かれています。プレーヤーはイベントカードの内容を基にして避難所の運営をしていかなければなりません。

イベントカードは全部で40枚。

おむつがほしいなどの要望や、毛布の支給などの救援をはじめ、苦情、質問、行政からの指示など、時間経過とともに避難所におこりうるさまざまな出来事で構成されています。

 



HUGには三種類の図面が用意されています。一つは、避難所全体の敷地図で、標準的な小学校をモデルにしています。残りは体育館と教室の平面図です。体育館と教室の大きさは、避難者カードと縮尺を調整してあり、プレーヤーは被災者を避難所に受け入れると想定して、カードを平面図に並べていきます。

 図面には、避難所運営に必要なことを自由に書き込んでいきます。たとえば、避難所の敷地図には自動車の進入ルートや駐車場など、体育館の平面図には避難者の導線を考えた通路や受け付けの場所などを書き込んでいきます。その他にも、ポストイットを貼り付けたり、色を塗ったりなど、図面の活用がHUGのポイントとなります。

避難所は小学校をモデルとしており、教室や体育館などの他、グラウンドや遊具、駐車場などで構成されています。

体育館の平面図には、実際に避難者カードを並べていきます。通路や受付など必要なことを書き加えながら、実際の避難所のイメージを作り上げていきます。



図面とともに避難所運営に欠かせないのが掲示板です。

 避難所とは避難してきた人々が応急生活をするための場所だけではありません。救援物資の配付や安否確認、救護所、ボランティアの受付など、地域の全ての人に必要な場所となります。必要な情報を必要な人達に知らせる手段として、掲示板は重要なアイテムとなります。

 HUGでは、ホワイトボード等を使用します。

 掲示板にどんな情報を掲示するのか、見やすくするためにはどうしたらよいか、避難所のどこに設置したらよいのか、掲示板の作り方もHUGの醍醐味です。



HUGを体験してみませんか

 HUGをやってみたい方、静岡県地震防災センターでは定期的にHUGの体験講座を開催しています。詳しくは、静岡県地震防災センターのホームページでご確認ください。⇒静岡県地震防災センターへのリンク

 静岡県ふじのくに防災士会では、地域や職場・学校などでHUGを実施してみたい方のために、ふじのくに防災士による出張講習等も行っています。お気軽にお問合せください。⇒ふじのくに防災士会お問合せフォーム

 「ふじのくに防災士会」の活動については、新型コロナウイルス感染拡大に伴い中止しておりましたが、HUGやイメージTENなどの図上訓練における集合型研修や、ふじのくに防災士の派遣による講習等を今後の感染拡大状況等を注視しながら、令和4年10月より徐々に再開していくことといたしました